i-DMで高得点を取る方法

i-DMのスコア。3rd STAGE。今回:5.0・アベレージ:5.0

車の話です。

i-DMで高得点が取れるようになってきたので、その方法について現時点で分かる範囲でまとめました。

まとめ:どう運転すれば良いか?

先にまとめです。i-DMで高得点を取るには、このように運転したら良いと考えています。上から順に大事です。

  1. 「急」のつく運転操作をしない。そのために、周りの状況をよく捉えて、危険な状況になっても急操作を行わなくてすむようにする。
  2. 運転操作の回数を全体にわたって減らす。細かく加速したり減速したりハンドルの操作量を変えたりしない。無駄に加減速を繰り返したり、ハンドルを切ったり戻したりしない。
  3. 無理に青ランプ(点数が上がる運転)を取ろうとしない。取れる状況のときに取る。 4.青ランプは(1)「加速度の変化量のわりに揺れが少ない運転」か(2)「加速度が一定で安定している運転」(後述します)のどちらで青ランプを取るかを事前に狙い、取る

i-DMとは?

細かい説明をする前に、i-DMとは何かについてかんたんにまとめます。

i-DMとは、マツダが考える「良い運転」ができているかどうかを評価するシステムです。マツダは「意のままの走り」の実現に向けて(ドライバーが意のままに操れるような)車の開発に取り組んでいるようですが、それを実現するにはドライバーの側も車をうまく操作できることが大事だと考えているようです。その実現を支援するのがi-DMです。i-DMを通じてうまく車が操作できているかどうかをドライバーにフィードバックすることで、ドライバーの運転スキル向上を支援します。その結果、マツダが目指している「意のままの走り」を車とドライバーの両面から実現しよう、というねらいのようです。

詳しくは以下のPDFをご覧ください。ちなみに以降の説明も基本的にこの資料をもとにしています。この資料を見ながら読むとより理解しやすいはずです。

https://blog.mazda.com/wp-content/uploads/2017/10/5683f686954e8bd95ac993ef013f1ccb.pdf

「良い運転」とは何か?

さて、これからi-DMで高得点を取るための方法について説明しますが、そのためにi-DMが考える「良い運転」とは何か? をまず確認します。

これは上記PDFの3ページ目に詳しく書いてありますが、まとめると以下の4つになります。

  1. 加速度の変化量が大きいわりに、身体に感じる揺れは少ない
  2. 加速度が一定以上あるが、加速度の変化量は少なく、安定している
  3. 細かい運転操作をしない
  4. 全体的に、運転操作の頻度が少ない

順に説明します。

加速度の変化量が大きいわりに、身体に感じる揺れは少ない

これは、どんどん加速の程度が増しているのに、それにしては身体に感じる揺れが少ない、という意味です。

「加速度の変化量」とはなんでしょうか? それを知るために、まず、「加速度」とは何かを説明します。

加速度とは、ある一定時間にどれだけ速度が変化したか、ということです。例えば、ある時刻に5[km/h]で車が走っていて、1秒後に10[km/h]になったとしましょう1。そのとき、この1秒間での加速度は、(10[km/h]-5[km/h])/1[s] = 5[km/h/s]となります。つまり、1秒間で速度が5km/h上がった、ということになります。

次に「加速度の変化量」を確認していきましょう。加速度の変化量とは、上記で見た加速度が、ある一定時間の間にどれだけ変化したか、です2。例えば、ある時刻に5[km/h]で車が走っていて、1秒後に10[km/h]、2秒後に20[km/h]で走ったとします。このとき1秒後の加速度は5[km/h/s]、2秒後の加速度は10[km/h/s]になります。このとき、2秒後の時点で、加速度の変化量は(10[km/h/s]-5[km/h/s])/1[s] = 5[km/h/s2]となります。つまり、1秒間に5km分、加速度(加速の度合い)が上がった、という意味になります3

それでは「加速度の変化量が大きいわりに、身体に感じる揺れは少ない」の理解に戻りましょう。「加速度の変化量が大きい」ということはすなわち、時間が進むにすれてどんどん加速の度合いが大きくなっていく、という状態です。最初はゆっくり発進加速していたけれども、数秒後には大きな加速度になっている感じですね。時間を横軸、速度を縦軸とするグラフでは、二次関数のような軌跡をイメージしていただくと分かりやすいかと思います。そのような運転状況下にあっても、「身体に感じる揺れは少ない」つまり身体や頭の揺れが比較的大きくはないときに、i-DMは高評価(青ランプ)を出します。逆に、揺れが大きいときは、低評価(白ランプ)となってしまいます。そのどちらでもないとき、すなわち加速度の変化量があまり大きくなくて、身体もあまり揺れない場合は、通常の評価(緑ランプ、「やさしい運転」と評しています)になります。

ちなみに「身体に感じる揺れは少ない」ですが、これは上記PDFの4ページ目に載っていますが、バネマスモデルというのを使って推定しているようです。ここについてはよく分からないので、何とも言えませんが、揺れているかどうかを身体で感じましょう4

加速度が一定以上あるが、加速度の変化量は少なく、安定している

これは、「加速度が一定以上ある」つまりそれなりの加速で運転しているのに、「加速度の変化量は少ない」つまり加速の度合いが上がったりも下がったりもしていない、安定して同じ程度で加速している場合に、青ランプがつきます。それ以外の場合は特に評価に影響しません。

細かい運転操作をしない

これは上記2つの加速度から出される評価とは別物です。運転操作について着目してください。

加速・旋回・減速の各操作を行うときに、その操作量を短時間で上げたり下げたりしないようにしてください。細かく運転操作をすると、白ランプがついてしまいます。例えば、カーブの角度を見極めきれなくて、ハンドルを回す量を増やしたり減らしたりするのを繰り返したり、アクセルを踏もうかどうか迷う感じで、離したり踏んだりを繰り返すと、白ランプがつきます5

全体的に、運転操作の頻度が少ない

これは全体的な運転操作の頻度です。細かく加減速や旋回を繰り返していると、減点されます。この判定項目は、個々の運転操作についての評価ではないため、白ランプはつきません。スコアにのみ反映されます。そのため、高得点を狙うときはこのような判定項目もあることを知っておくとが良いでしょう。

どう運転して高評価を取るか?

以上で見てきた4つの判定項目があるi-DMで、どのように運転したら高得点を出せるかについて考察します。

最初の「まとめ」の内容を再掲します。上から順に大事です。

  1. 「急」のつく運転操作をしない。そのために、周りの状況をよく捉えて、危険な状況になっても急操作を行わなくてすむようにする。
  2. 運転操作の回数を全体にわたって減らす。細かく加速したり減速したりハンドルの操作量を変えたりしない。無駄に加減速を繰り返したり、ハンドルを切ったり戻したりしない。
  3. 無理に青ランプを取ろうとしない。取れる状況のときに取る。
  4. 青ランプは(1)「加速度の変化量のわりに揺れが少ない運転」か(2)「加速度が一定で安定している運転」のどちらで青ランプを取るかを事前に狙い、取る

それぞれについて解説します。

1.「急」のつく運転操作をしない:これは通常の安全運転でも言われることです。急加速、急旋回、急ブレーキをしない。これらは「身体が揺れる運転」になり、白ランプがついてしまいます。そのため、周りの状況をよく観察して、事前に危険を察知したりあるいは起こりうる危険を予測して急制動しない運転を心がけることが大事です。

2.運転操作の回数を全体にわたって減らす:これは、「全体的に、運転操作の頻度が少ない」の判定項目に関わってきます。漫然と前の車に合わせて細かく加減速を繰り返していると、評価が下がってしまいます。そのため、渋滞時などにおいても、なるべく運転操作の回数は減らすようにしましょう。幹線道路で流れているようなときでも、無理に前の車との車間距離を詰めたりせず、余裕をもって少ない運転操作の回数で発進、停止できるようにしましょう。車間距離を取ることは「1.「急」のつく運転操作をしない」にもつながります。

3.無理に青ランプを取ろうとしない。取れる状況のときに取る:実際の道路状況によっては、渋滞時や幅の狭い道路など、青ランプを取れない状況も多々あります。青ランプを取るには、安定した運転操作を続ける時間がそれなりにとれる道路状況が必要です。そのため、取れないような状況では無理に青ランプを取ろうとしないこと。青ランプを取ろうとすると、道路状況に合わない運転操作になったり、結果的に「急」のつく運転になって、減点されてしまうことが多いです。ですから、(白を出さないのは当然として)「ここは緑ランプで」「ここでは青ランプを狙う」ということを意識して、運転しましょう。

4.青ランプは(1)「加速度の変化量のわりに揺れが少ない運転」か(2)「加速度が一定で安定している運転」のどちらで青ランプを取るかを事前に狙い、取る:優先順位の最後にきて、ここで得点を取る運転です。上記3つは、得点を下げないための運転です。これらができていれば、青ランプの数はそう多くなくても、点数はあがります6。その上で、状況が許すとき、青ランプを狙います。(1)と(2)のどちらか(あるいはどちらも)を狙うかを決めて、運転操作をしましょう。(1)は評価部分でも書いたように、2次関数的に加速・旋回・減速をすると取りやすいです。(2)は一定量で加速・旋回・減速を続ければよいです。(1)と(2)を繋げて、しなやかに加速後、一定量で加速を続けることで、青ランプを継続させることができます(加速の場合)。

ちなみに、PDFの9ページ目によれば、(1)は、1回の操作につき1点のみの加点ですが、(2)は、安定している時間分だけ点数が加算される(何秒で何点、などまではわかりませんが)ので、可能ならば(2)を長い間続けると、より点数が上がりやすくなるはずです。

おわりに

ひととおり書いておいてなんですが、私もそんなにしっかりは分かってはいないです。特にハンドルはうまくなくて、ワインディングロードでは青ランプはたくさん取れませんし、白ランプもそれなりに出ます7。市街地ではハンドルで青ランプを取る機会が少ないのかなあと思ったりしていますが、もうちょっと、青ランプになる基準の閾値などを探っていきたいなあとも思っています。

それと、この記事で書いた良い運転の方法は概念的に過ぎて、具体的にどのように運転操作をしたら良いのかはあまり分からないかもしれません。そこは、実際の運転のいろんな場面で試してみていただければよいかと思います8。特に青ランプの運転は、これまで穏やかな運転をしていた方には結構な急制動かなあと思われるかもしれません(私がそうでした)。なので、ひらけた道で、交通量が少ない場所で、実際にどういう運転操作で青ランプがつくのか、を試すとよいかと思います。

最後に、i-DMを使うのは良かったのかどうか? についてです。個人的には結構良かったです(だから記事を書きました)。自分が行った運転操作に応じて、白ランプや青ランプがつきます。これがフィードバックになります。白ランプがついたときは確かに揺れが大きいことをあとから思い返して実感するため、そのような運転をしないようにしようと心がけるようになります。他方、青ランプがついたときは、i-DMの意図通り、体感的にもスムーズに運転ができていると大体の場合納得できます。そのため、青ランプを増やそうというのは、マツダが考える「走る歓び」の実現に近づくのではないかなあと思います。これまで青ランプが出るような、気持ちの良い、のびやかな運転(と私は呼んでいます)は意識的にはしてませんでした。ですからそれをi-DMによって知り、学習できているのはとても嬉しいことです。

ただ、i-DMはあくまで運転操作に対しての評価であり、道路状況の評価は加味しません。ですから、前後センサーや車線検知システムなどを使って、道路状況的にも良い運転か、というところまで評価に加えられるとなおいっそう良くなるのではないかと思います。とはいえ、PDF14ページ目に書いてあるように、i-DMは普段の道でも運転の楽しさを見つけるための「ゲーム」にすぎないので、i-DMでマツダが考える「良い運転」を「伝授」いただいたら、あとはそれを適度に心がけながら、安全に、たのしく、運転していったら良いのではないかな、と思います9


  1. この例ではアクセルを踏み込んで加速している状況を例に取っていますが、旋回の度合い、減速度合いについても同様に考えてください。

  2. ちなみに、加速度の変化量のことは躍度とも呼ばれるらしいです。

  3. 説明がわかりにくい場合はGoogle他で検索してみてください。たぶん、力学を分かりやすく説明しているページや動画が良いかと思います。

  4. 上記のPDFには揺れについて「大きい「揺れ」 つまり急な加速度の変化が発生している」と書かれています(3ページ目)ので、急加速や急減速、かっくんブレーキのように準備なしにいきなり加速度が変化した場合に揺れが起きる=白ランプ、と判定しているように思います。

  5. やったことはないのでわかりませんが、いわゆるポンピングブレーキもここの判定で白ランプがつくんじゃないかと思います。

  6. 得点計算の細かい話になりますが、PDFの9ページ目の情報からは、同じ白ランプでも内部的には減点は1〜3点の幅があるようです。ですから、たとえ白ランプを出してしまったときでも、その減点を少なくするために、身体を揺らさない運転を常に心がけておくことが大事です。

  7. 冒頭の写真も、1番良いスコアが出たときの結果を撮ったものでして、その次の「今回」のスコアは4.5、アベレージは4.9になりました……。今は、アベレージ4.8〜4.9の間を推移している感じです。

  8. 気分によっては書くかもしれません

  9. そういうわけで、隠しコマンドで出てくる4th stage、5th stageは今のところあまりしたいと思っていません。